ソウルの寄生虫博物館(2019年10月22日)

韓国寄生虫学会に参加しました
飯島撮影

韓国の寄生虫学会に参加するためにソウルを訪ねました。この会議では、九州大学名誉教授の多田功先生による、1970年代に実施された済州島におけるリンパ系フィラリア症制圧のためのプログラム(長崎大学風土病研究所の片峰大助教授の研究室が中心となりました)やそれを契機として開始された日韓寄生虫フォーラム(フォーラム済州)の歴史をめぐる講演がありました。この講演を聴くと同時に、現在私たちが進めている済州島でのリンパ系フィラリアをめぐる調査研究のため、韓国の寄生虫学者と関係を深めることが今回の訪問の目的でした。多田先生のご講演に関しては、別の機会に紹介したいと思います。

世界で二つ目の寄生虫博物館

学会の空き時間を利用して、多田先生とご一緒して、最近、ソウルに開設された寄生虫博物館を訪問しました。この博物館は目黒寄生虫館を参考にして設計されたのこと、但し、新しい博物館だけあって、目黒寄生虫館に倣った標本の展示とともに、画像やコンピューター・グラフィックを用いたvisual系の展示がかなりあります。

韓国における寄生虫症の制圧は、セマウル運動と連動しており、韓国現代史の重要なトピックの一つです。また、日本の寄生虫学者がさまざま支援を行いました。そのプロセスに興味があると同時に、歴史家としては、こうした活動が植民地経験とどのように関係していたのかに興味を惹かれます。展示では、学校教育の重要性も紹介されており、この問題にも強く惹かれます。

(飯島渉)