(ソウル)韓方振興センター
Seoul K-Medi Center

(ソウル)韓方振興センター
Seoul K-Medi Center

薬令市と韓医学

ソウルの中心部からすこし東の地下鉄「祭基洞」駅の近くに、たいへん大きな薬草のマーケットとこれから紹介する「韓方振興センター」(韓医学の博物館)があります。韓医学の歴史と現代の治療体系の中での韓医学の役割を紹介する「韓医学の歴史と現在」の博物館です。

薬令市は、韓医学のための薬草などを扱う商店が林立している大きな市場で、これも興味あります。一昨年の秋に一度訪れる機会あったのですが、その時は雨に降られてよく見ることが出来なかったので再訪しました。しかし間の悪いことに日曜日だったので多くの商店は休みでした、残念。

「韓方振興センター」(韓医学の博物館)

日曜日でもさすがに博物館は見学できました、入場料は1000ウオン。展示の内容は、韓医学が利用する薬草、動物、鉱物などを展示し、その歴史を紹介するスペースと韓医学が現在どんな役割を果たしているのかを紹介する現代のスペースの二つに大きく分かれています。また、建物の中には、韓医学の診療所や韓医学にもとづく料理のつくり方を紹介するセンターもあります。足湯の体験コーナーもあるのですが、冬場は閉まっているとのこと、これまた残念。

「韓医学」という言葉

景福宮の民俗博物館の紹介でも触れましたが、韓医学は、日本語では「韓方」(つまり、漢方や蘭方との関係から)、英語ではoriental medicineとなり、中国語では「東方医学」ですから、このずれはまさに研究課題の一つです。

展示の中に、韓医学は「中国で発達した伝統医学か」というYES/NOの問題が出されるコーナーがあります。もちろん、この答えはNOなのですが、韓医学が中国医学から大きな影響を受けていることは明らかなので、それを「漢方」と表現する日本のあり方とは論理が異なるわけです。これはナショナリズムですが、中国と地続きで、日本のように選択的に中国文明を導入できたところとの違いでもあると感じます。医学の体系を持っているのが文明だと考えれば、この論理には意味があると思います。

(飯島 渉)